※補聴器を装用しても音の反応が全くなかった重度難聴の息子。2012年3月、1歳6か月で人工内耳手術をしました。
『お耳の成長記録』として、人工内耳を装用してからの息子の様子、聴こえの変化、ことばの表出記録などを、当時のメモをもとに過去を振り返って綴っています。
まとめはこちら>>>『お耳の成長記録』
人工内耳装用43,44,45週間目(2歳4か月)
あと2か月で音入れから1年が経つという頃です。
人工内耳手術してはじめの8か月間は言葉の理解は感じるものの、発語がほとんどありませんでした。しかしこの頃になると理解と発語のタイムラグがほとんどなくなるほど発語がでてきました。また、
「ぶっぶー」が、「うーま(くるま)」になったり
「ぱおーん」が「ぞうたん(ぞうさん)」になったり
オノマトペ(幼児語を含む)から名詞を使うような言葉がでてきました。
少しずつ広げていくような声かけがじわじわ効いていた(聞いていた)のだと思います。
音に驚かない
マッピングとハビリテーションでは、太鼓を使って音の大小の聞き分けをしました。
音の大小が伝えられるようになると、マッピングでも細かい調整ができるようになります。
「おっきな音、ちっちゃな音、これはどっちかな?」
息子の目の前で音を出す時は、STの先生も身振りを大きくしたり、小さくしたりして太鼓をたたくので
「大きな音」→大きな太鼓の絵
「小さな音」→小さな太鼓の絵
を容易に選ぶことができました。と同時に、「おっきい」「ちっちゃい」と言葉で伝えることができるようにもなりました(*‘∀‘)
しかし、背後からの音は大小の判別はできないようでした。
STの先生もかなり大きめに太鼓をたたいてみせたのですが、それでもだめでした。そして、大きな音を嫌がる様子がない( ;∀;)
そういえば、生活していても息子が音で驚いたのを見たことがない。言わば、不快な音がないような感じです。
普段も大きな音にも驚く様子がないことをSTの先生に伝え、マッピングをしてもらいCレベルをあげてもらいました。
そして、日常でも音の大きさに気づくような声かけをしてくださいねとアドバイスをもらいました。
成人の人工内耳装用者の体験
人工内耳装用児の保護者の方の体験発表だけではなく、その頃は成人装用者ご自身が体験を語られる講演にもよく足を運んでいました。
成人の人工内耳装用者は、失聴した時期(先天性、後天性)も様々で、聴こえも人それぞれです。電話ができる人、スムーズに会話ができる人もいれば、筆記が必要な人もいたりします。
でも、共通するのは、皆さん話好きですね(^^♪
特に中途失聴の後に聴こえを取り戻した方は、人とおしゃべりしたいエネルギーにあふれているように感じました。
そこで、もともと難聴で20代で失聴し人工内耳手術を受けた成人装用者の方の体験でしたが、息子の聴こえを知る上でとても役立ちましたので、備忘録として残したいと思います。
装用して10年経ち、今では地方特有のイントネーションの違いも区別がつきますと話しておられましたが、最初からそうだったわけではなかったとのことでした。
まず音入れ後は、食事をしながらの会話、相手の声の調子から伝わる情報、周りの人の話し声環境音など、とにかく音の多さ、音の情報量に驚いたそうです。
そこではじめたのが、たくさんある音の中から今自分が聞きとりたい音、自分にとって重要な音はどれかを意識して聴く練習だそうです。
- 駅のホームにいる時はアナウンスに注意して聞いてみる
- 電車の中では次の停車駅のアナウンスを聞き取ろうとしてみる
- 音楽のかかっているお店で友達と会話をしてみる
など、日常生活の中で言葉を聴き取る訓練をはじめたそうです。
また、文字を追いながら聴く訓練(トラッキング)もしているとのことでした。装用耳側に誰か横に座ってもらい、自然なリズムで交互に本を読み進めるという方法です。
音楽は、好きな歌手のCDを一通り聞いたあとその中から好きな曲(聞きやすい曲)を選ぶそうです。繰り返し聞くうちに歌詞のところどころが分かってくるので、行間は歌詞カードを見たりして、ひとつずつ新しい曲を楽しむということでした。
これは私が英語の歌を聴くときと同じ方法です。そのくらい歌の聴き取りは難しいのだと身に染みて感じました。
過去に音や言葉の記憶がある成人の方でさえも、これだけ努力しないといけないのですね。
人工内耳はただの機械。
使いこなすためには、「聴きたいという気持ち」、それと「言葉によるコミュニケーションの楽しさ」なのだと感じました。
言い換えれば、それらがあれば音声言語獲得の扉は開けているのだとも思いました。
子どもの場合、「聴きたい気持ち」「言葉によるコミュニケーションの楽しさ」の基盤はは、親子の会話や家庭の中で育んでいくのが自然な形なのかな。
成人装用者の方たちが享受してくれる体験話は、人工内耳装用児の保護者たちにとっても多くの気づきを与えてくれます。まだ言葉を知らないわが子の気持ちを慮る橋渡しとなります。
いろんな発信をしてくださる成人装用者の方の声は大変参考になります。
ありがとうございます。
二語文の声かけと言葉の順序
二語文を意識した言葉の遊びや、二つ以上の指示を記憶して聞けるように日常の中で意識していました。
STの先生いわく、はじめにでる二語文は所有格の「の」が多いそうです。
息子はまだ自分のことを呼びません。
でも、名前は分かっています。プレ保育でも名前を呼ばれると返事ができます。
「○○の△△」
を特に意識して使っていましたが、まだ聴覚記憶が弱くて二語文の指示は聞き取れないようでした。
例えば、「大きい青のおさかなをとって」と言うと、ライオンを持ってきました(^^;)
「さかな」はすっ飛ばして、「あお」の部分が、「がぉー」って聞えたのかな。
と思えば、
「新聞とバナナをとりに行こうか」
と息子に言って、
先に新聞を手にしてから、「もうひとつは何だったっけ?」と聞いたら
「バナナ」って答えられることもありました。
二項目の指示は、その順番で覚えることができるまでは未達だと言われました。耳コピできるようになるまではまだまだでした。
聴覚記憶についてはこちらをどうぞ。
人工内耳を装用して43,44,45週間目の気づき
発語は73語増えて約200語になりました。
まだモーラ数の長い単語は語尾がごにょごにょしていますが、言わんとしたいことは(私なら)分かることが多くなりました。
- 発語(73語)
名詞 | 動詞 | その他 | |
電車 | リス | 片づける | ダメ |
車 | あひる | お風呂に入る | くさい |
飛行機 | チーター | 歯を磨く | まる |
コアラ | たぬき | 食べる | 長い |
へび | ぶどう | 寝る | きれい |
靴下 | タコ | 起きる | 大好き |
ズボン | 凧 | 貸す | いってらっしゃい |
おはし | かがみもち | 立つ | おかえり |
イルカ | こま | 危ない | |
おつきさま | きゅうり | いたいのいたいのとんでいけ | |
かに | 電池 | あったかい | |
オムツ | 変身 | 鬼は外 | |
ちょうちょ | ホットケーキ | かわいい | |
DVD | かいしゃ | よーいどん | |
絵本 | 体操 | ばっちい | |
せみ | おかし | ||
おしっこ | パイナップル | ||
うんち | せんろ | ||
おひさま | 爪 | ||
パズル | おっぱい | ||
カバ | おへそ | ||
ぶどう | 散歩 | ||
どんぐり | 電気 | ||
サンタさん | テープ | ||
グミ | 自転車 |
- その他
1)いたいのいたいのとんでけ~
久々に思いっきり息子に噛まれました”(-“”-)”
すごく痛くて怒りましたが、私がその噛みあとをさすりながら
「いたいの、いたいの、とんでけ~」としていたら、息子が近寄ってきて
「いたい いたい とんでー」
と言ってさすってくれました(*‘∀‘)
もちろん、私の痛みもどこかへ飛んでいきました。
さっきは怒り過ぎたとさえ思ったほど(笑)
まだ二語文は出ませんが、少し長めの言葉が復唱できるようになってきました。
2)「かして~」「いいよ~」
以前、公園で「かして」「いいよ」ができないということを書きましたが(人工内耳装用29,30週間目)、この頃になると「かして~」を使うようになりました。
でも、「ちょうだい」との違いが分かっていません。
朝食の私のウィンナーを指さして、
「かして~」
と言ってきました(;’∀’)
返す予定のないものには「かして~」は使わないんだよ、と言ってもまだ分かりませんね。
たくさん聞いて使って経験から覚えてもらおうと思います。
まずは、丁寧に。そして、気長に言葉かけしていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
音遊びに☆
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