「周りとの違いを感じ始めた頃」からの続きです。
保育園に入園して、ひと月。
息子のクラス(年少)で、息子のお耳のことについて話す時間をいただきました。
内容はざっとこのようなことを話しました。
- 生まれつき耳が聞こえないこと
- 手術して聞こえるようになったこと
- 人工内耳しても同じように聞こえていないこと
- 時々話しかけても返事がない時なかったかな?
- 無視したんじゃないよ。
- 正面からもう一度話しかけてほしいこと
- みんなとおしゃべりするために人工内耳は大切な機械であること
3~4歳児に自分の経験のないこと、まして目で見えないことを想像できるように話すには、
- できるだけ短い時間
- やさしい言葉
- 短い文章
- 子どもの反応を見ながら
- 少しテンション高めで
- 問いかけながら
お話ししました。
当時の原稿があったので、一部抜粋です。
紹介から
みなさん、こんにちは!
おばさんのこと知ってるかな?
あいさつしてくれたことがあるお友達もいるよね!!
じゃあ、問題!
おばさんは○○組さんのだれのママでしょうか?
あたり!
おばさんは○○くんのママです!よろしくね!!
今日は○○組さんのみんなに大事なお話しがあってやってきました。
どんなお話なのか、みんな聞いてくれるかな?
聞いてくれる人?
ありがとう!!!
人工内耳のこと
○○くんのお耳、みんなと一緒だけど、毎日お耳にサッカーボールの絵のついたかっこいいものつけてるでしょ。知ってるかな?
みんな知ってるね!ありがとう。
じゃあ、これなんていうのか、知ってる人?
これは難しいかな。
(息子に)お耳につけているものの名前教えてくれる?
「人工内耳だよ」
そうだね。これは「人工内耳」といいます。
○○くんはこの人工内耳をつけないと聞こえないの。だから毎日人工内耳をつけて保育園に来てるんだよ。
聞こえないってどんな感じかな
耳をすますと今どんな音が聞こえる?
―隣のクラスの歌
―おばさんの声
―工事の音
―パチパチの音
―足音
―椅子の音
・・・
たくさん教えてくれてありがとう!
車が走る音、鳥の声、風の音とか、お外の音もいろいろ聞こえるよね。
聞こえないっていうのは、今教えてくれた音が何もない世界のことだよ。
じゃあ、みんな!聞こえないってどんな感じだと思う?ちょっと想像してみてくれるかな?
―お話しが聞こえない
そうだね。お話聞こえないね。何て言ってるのか分からないかもしれないね。
―おしゃべりができない
聞こえないと先生やお友達とおしゃべりできないね。
―テレビがつまらない
音が聞こえないと分からなくて、楽しいテレビがつまらなくなるかもしれないね。
―電車の音が聞こえない
電車の大きな音も聞こえないね。
(いろいろ思ったことを、他にも教えてくれました。)
どんな感じが想像してくれて、ありがとう。
手術
聞こえないと困ることがたくさんありそうだと思わない?
それでね、○○くんはお耳が聞こえるように、手術をしたんだよ。
手術してね、お医者さんにお耳を治してもらったんだよ。注射をしたり、いろんな検査もしたり、痛いこともあるけれど、○〇くんは頑張ったよ。強いでしょ!
それから人工内耳をつけて、やっと音が聞こえるようになったよ。
おばさんはね、とっても嬉しかったんだ。
聞こえないこともある
でもね。○○くんのお耳はみんなのお耳と違うんだ。
それはね、人工内耳をつけても聞こえない音があるんだよ。
たとえば、こんなことない?
話しかけたけれどお返事してくれなかったことはないかな?
それはね、○○くんが無視したんじゃなくて、聞こえていないんだ。
それからね、ざわざわしたところでは、みんなの声がよく聞こえないんだ。
人工内耳はね、みんなのお耳とちょっと違うからなんだよ。
○○くんに分かるように、前から話しかけてね。
人工内耳は大切なんだ
みんな、人工内耳は初めて見たと思うけれど、メガネはどう?
おばさんもメガネかけているけれど、みんなのおうちのお父さんやお母さんはどうかな?メガネをかけている人、手をあげてくれる?
なんでおばさんメガネかけているのか分かるかな?
よく知ってるね!そうだよ、目が悪いの。
おばさん、こうやってメガネを取ると、みんなの顔がよく見えないの。メガネないと車を運転できないし、字がぼやけて絵本が読めないの。だからメガネがないと困っちゃうんだ。とっても大切にしてるんだ。
おうちの人もメガネは大切にしてるでしょ。みんなが勝手に触ったりしたらダメだよね。
○○くんの人工内耳もメガネと同じなんだ。人工内耳がないと聞こえなくて困っちゃうの。
だからね、先生から教えてもらったように、○○くんの人工内耳を触ったり、取ったりぜったいしないでね。
約束してくれるかな?
ありがとう!
今日はおばさんの話をみんな一生懸命聞いてくれたね。とっても嬉しかったです。ありがとう!!
これからおばさんのこと見かけたら、いつでも手をふってね。本当にありがとう。
- そのほか、人工内耳の写真を見てもらいました。
いつもお耳に付けていて、はっきりどんなものか見たことないと思ったからです。実物にしようかと迷いましたが、触らないでといっているのに矛盾すると思ったので止めました。
- 入院中の写真を持っていきました。
話ばかりでは飽きちゃうし、入院や手術って想像できませんから。
お医者さんにお耳が聞こえるようにしてもらったんだと分かってもらえたかなと思います。ただ、入院は楽しそうだという印象になってしまったかもしれません(笑)
説明には園長先生と主任の先生も来てくださいました。
担任の先生からは、初めて知ったこともあったと言われました。私が帰った後には、復習もしてくださったそうです。
追記
クラスで人工内耳の話をするにあたり、ひとつ心配していたことがありました。
息子がその話を聞いて、どう感じるかということです。
息子の同意や回答を求めながら話しをしました。そして、話しながら様子を見ていましたが、人工内耳を取ると聞こえないからねと私が話していた時も、「うんそうなの。取ると聞こえないんだよ」と言って、コイルを取って見せていました(笑)
その様子から、とにかく今は聞こえないことを事実と受け止めていて、恥ずかしかがったり、悲しがったりすることはありませんでした。
その反応が少し嬉しくもありました。