※補聴器を装用しても音の反応が全くなかった重度難聴の息子。2012年3月、1歳6か月で人工内耳手術をしました。
『お耳の成長記録』として、人工内耳を装用してからの息子の様子、聴こえの変化、ことばの表出記録などを、当時のメモをもとに過去を振り返って綴っています。
まとめはこちら>>>『お耳の成長記録』
ロジャーの申請(年少3歳)
こちらの続きです。
はじめに、
ロジャーとは、デジタルワイヤレス補聴援助システムロジャー(Roger)の総称をいいます。
マイクロホン付きの送信機から、話し手の声を補聴器/人工内耳に取り付けた受信機へ送り、聞き取りを改善するシステムです。 補聴器が周囲の騒音を拾ってしまう騒がしい場所や、反響の多い場所、話し手との距離が離れている場所で役立ちます。(フォナックHPより引用)
詳しくは、フォナックのサイトをご参照ください→こちら
年少の二学期、ロジャーをようやく入手しました。
受信機は「ロジャー14」、送信機は「ロジャーインスパイロ」です。
試聴してから書類を準備し、特例補装具として(ロジャーは補装具として認定されてません2019年7月現在)申請して決定通知がきて、購入に至るまでおよそ三ヶ月半かかりました。
申請に当たっては「担当医師の意見書」「見積書」「ロジャーのカタログの写し」を提出しました。
「意見書」、さぞやあつーく書いてくれるかと主治医に期待したのですが、FMと比較してロジャーが優れる点がさらっと一行書かれてあるのみでした。
これで大丈夫かしらなんて思っていたら、申請してから二週間後、更生相談所から質問がありました。
内容は、
- ロジャーの試聴の期間と効果
- 人工内耳手術をした年齢
- ロジャーを希望する理由
- どんな使い方を予定しているか
- 所属先
- 所属先の意向(使ってくれるのか)
でした。
「試聴の期間と効果」を聞かれるあたりからして、判定の基準の中で、ロジャーの試聴は必須だと考えていることが分かります。
これは他の多くの自治体でも同じようにお聞きしますが、各自治体がそれぞれ基準を設定しているので、詳しくは問い合わせをした方が間違いがないと思います。
わが家も申請をする前に、試聴を10日間しました。
どんな使い方を予定しているかは、保育園でホールでの行事や集会、クラス活動(主に絵本の読み聞かせ、全体の指示)で使いたいと回答しました。
受信機は両耳で2台を申請していたのですが、これに関しては何も聞かれませんでした。(自治体によっては1台しか認められないという話もちらほらお聞きしますね)
結果、質問に回答してからひと月半後に決定通知が届きました。
ロジャー受信機も2台通りました。
自費でもほしいと思っていたのでありがたかったです。
ロジャーの活用(@保育園)
「ロジャーがオンの時は周りの声が聞こえにくくなるので、使わない時はオフにしてください」
ロジャーの使用にあたっては、このことだけ保育園にお願いしました。
どんな場面で使った方がいいかは保育園の先生にお任せすることにしました。
ホールでの集会や屋外での活動を中心にロジャーを活用してくださいました。また、制作前の作り方を説明する際や絵本の時間など室内の活動でも使ってくださったようです。そして、こまめにロジャーを切ってくださいまいました。
先生からは、
「ロジャーを使ってからは、ささっと作業を始められるようになりましたよ」と教えてもらいました。
聞こえているからだと思います(*‘∀‘)
みんなと同時に自分の判断で行動ができる!これはロジャーのおかげです。
人工内耳や補聴器には限界があり、聞こえる子には聞こえる音もいくら頑張っても聴きとれない音があります。
そんな状況で集団生活をしていくのは大変なことです。
今必要としている会話をしっかり届けてあげることは、聴くこと、理解すること、考えることにつながるのではないかと思います。
先生の指示が分からなくて不安で常に周りの様子を見ているよりも、自分の意志で行動できることは自信にもつながっていくと思います。
一方で、聞くことをあきらめないでほしいという欲張りな思いもありました。
どんな状況だと聞こえにくいのか、どんな時にロジャーを使ってもらうといいのかなど、自分で考える経験も大切。
聞き漏らしや聞こえにくさを経験することも必要だと思っています。
失敗のきく幼児期だからこそ失敗しても構いません。どんなことも最後はたいてい笑い話になります。
そのため、ロジャーの必要がない時は先生にロジャーを切ってもらい、自然な聞こえの中で過ごせるようにしてもらいました。
ホールでの行事では、他学年の先生もロジャーをリレーして活用してくださっていました。保育園全体で協力してくださり感謝でいっぱいでした。
担任の先生の感想
卒園児、当時の息子の担任の先生からロジャーについて伺う機会がありました。
先生の考え方を聞いて、なるほどと思うことがあったので、同じ年頃のお子さんやこれから入園するお子さんの参考になればと思い、当時の記録から以下抜粋しました。
息子がどのくらい聞こえるか?ロジャーはどんな時に使うといいのか?
最初はやはりよく分からなかったそうです。
ロジャーは年少の2学期から使ってもらいましたが、はじめの頃はロジャーを使って聞こえていることを確認し、ロジャーの扱いに慣れてきてからは、静かな時間はロジャーをオフにしてみて、これは聞こえる?と息子に確認してくれたり、様子をみて探ってくれていたそうです。
そのうち、このくらいならロジャーなしで聞こえるんだと分かってきたそうです。
年中からは場面や状況によってロジャーを使ったり使わなかったり切り替えていたそうです。
すると息子から「先生、今はロジャーいらないよ」と言ってくるようになったようです。
先生が消し忘れていると、友達の話が聞こえないから「もう切って」と言ったり。逆に、「ロジャーつけて」と注文つけてくることも。
この話は聞いていてすでに知っていましたが、これには続きがありました。
「私(先生)がロジャーを使う時を決めるより、最終的には、○○くんが自分からロジャーのオンオフを言えるようになるといいなと思っていました」と。
そんなに息子の聴こえのことを考えてくださっていたとは知らず、この話を聞いた時は涙が出そうでした。
息子の聴こえの成長はこの先生なくしてなかったのだと思います。言葉の成長は家庭で担ってきた自負はありますが、集団生活の中での聴こえは私はノータッチ。
ロジャーを使いっぱなしでなく、必要な時、いらない時のオンオフをつけて、尚且つ、息子自身が判断できるように先生が声かけしてくださったおかげで、現在恥ずかしがらず、先生に聴こえを伝えられるようになったのかもしれません。
そして、先生からは「○○くんは自分でどうして欲しいか言えるから心配ないと思いますよ」と。
まだ遠慮という奥ゆかしい心をつゆ知らずな息子ですので、ズケズケ先生に注文つけていたことでしょうが、その注文を面倒がらず聞いて寄り添ってくださった先生には頭が下がります。
そんなわけで、ロジャーを使うと傾聴姿勢がつかないとか、ロジャーがあれば集団生活も安心とか、良い面、悪い面といろいろと聞きますが、
使い手が場面や状況に応じてロジャーのオンオフを付けることで、子ども自身の聴こうとする気持ちを育めるのではないかと感じました。
ロジャーをオンにすればピーと聞こえますし、それが聴く時間だという気持ちのオンにもなります。
一方でオンのままだと周りの人の声が聞きづらくて、本人的には今ロジャーいらないよとなります。
そして、先生に「今、聞こえる?」と尋ねてもらううちに、自分から先生に言おうという気持ちが動くのではないのかな。
使い手の使い方次第で、ロジャーを使っても傾聴態度を育んでいくことは可能だと思います。
ロジャーの申請(現在)
さて、現在の話。
息子が人工内耳手術をして8年間使ってきた人工内耳のプロセッサーを先月買い替えました。
新しいプロセッサーは「Nucleus7」です。
新発売から半年ほど悩んで決めた買い替えでした。そこまで悩んだのは、費用面の問題です。
「Nucleus7」でロジャーを使用するには、「Nucleus7」専用のロジャー受信機「ロジャー20」が必要でした。そのため、プロセッサー購入と同時にロジャーの受信機も買い替える必要があったのです。
今や学校の授業や全体集会でロジャーは息子にとって欠かせないので、ロジャーなしで学校生活は考えられません。「ロジャー20」を購入しないという選択肢はありませんでした。そうすると、当然高額に。。。
また、タイミングが悪く送信機のロジャーインスパイロが故障してしまったため、送信機の修理または買い替えするかの判断にも迫られていました( ;∀;)
前回、保育園の時のロジャー申請から5年弱(4年と9か月)です。
耐用年数5年にはわずかに達していません。受信機および送信機を福祉で購入できるかどうか微妙なところです。
そのため、自治体の福祉課の窓口に相談に行きました。担当者は特例補装具の判定先に問い合わせてくださいました。
「5年には現在達していないけれど、受信機は新たに必要になったものだと理解しました。故障した送信機を修理した方がいいか、新規に購入した方がいいかはこちらでは判断できません。
特例補足具として必要な書類を出してもらえれば申請を受け付けます。それで判定させていただきます」
とのことでした。以下がその書類です。
- デジタルワイヤレス補聴援助システム(ロジャー)使用状況調査書(書式あり、記入者はロジャー使用者)
- 特例補装具費支給意見書(書式あり、記入者は医師)
- 見積書
- カタログの写し
①の使用状況調査書は、家庭での使用状況を私が記入し、小学校での使用状況を担任の先生が記入してくださいました。
先生は学校での装用効果をこのように書いてくれました。
「授業の内容やクラスメートの発言がよく聞き取れるようになった。また、屋外や体育館での集会時に使用し、聴こえの助けとなっている。」
②の意見書は、主治医に記入してもらいました。書式の内容としては、
「障害の部位および状況」「使用による効果見込」「特例補装具でなければならない理由」「備考」
簡潔かつ的確な記入内容で、今回は書きなれているように感じました(笑)
これら①~④の書類を用意し、特例補装具費の支給申請をしました。
早くて1週間で支給費決定の判定がでました!
現在息子は両耳「Nucleus7」に、ロジャー受信機「ロジャー20」を使っています(*‘∀‘)
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