1歳半で人工内耳を装用するまで聴覚活用はゼロだった息子。そこから療育により聴覚活用ができるようになるまで。前回からの続きです。
ここで、聴覚優位といっても、よく聞こえるようになったということではもちろんありません。視覚(目で見た情報)処理よりも聴覚(音で聞いた情報)処理の方が得意ということです。聴覚優位になっても難聴のため聴覚情報を得にくいというのは変わりなく、そこは聴覚保障で補う必要があります。
1項目の聴覚記憶
聴覚記憶は、聴いた言葉を覚えることです。聴覚記憶の発達により、聴こえを通して多くの情報を理解することができるようになります。
まずは、1項目の聴覚記憶からです。
モーモー
にゃあにゃあ
わんわん
パオーンパオーン
めぇーめぇー
ブーブー
ガォガォ
ケロッケロッ
チュンチュン、など
擬音語や擬態語の音の違いを理解し、絵カードから1つを正しく選択できるかをみました。
「ガォガォのライオンさんちょうだい」
「モーモーの牛さんはどれかな?」
音の長さ(モーラ)、大きさ、リズム、高さから弁別できているかが分かります。
はじめは2つの選択肢からはじめました。
その後、選択肢を5つに増やし、擬音語や擬態語以外に名称でも言いました。また、動物以外にも、野菜や日用品も混ぜました。
公文の絵カードは大きくて、実物に近い絵で分かりやすいと思います。わが家は大活躍しました。
「くだものやさいカード〈1集〉 (くもんの生活図鑑カード)」と「生活道具カード (くもんのせいかつ図鑑カード)」からはじめました。
また、わらべきみかさんイラストの「幻冬舎(Gentosha) わらべきみかのあいうえおカード プラス」絵カードを段階的に使いました。抽象的な絵も理解できるといいなと思いました。イラストがかわいいので遊びも楽しくなりました。
こちらはいろいろな絵カード
こちらは「幻冬舎(Gentosha) わらべきみかのどうぶつカード プラス 13.5×11.1×6.8cm 497911」どうぶつ。
2項目の聴覚記憶
<名詞2項目>
1項目の選択ができるようになったら、2項目に増やしました。
擬音語や擬態語も使いましたが、名称で分かるものは名称で言ったりしました。
「めぇーめぇーとくじらをちょうだい」
「イスとみかんをちょうだい」
「りんごとももを買ってきて」
二項目の聴覚記憶は、名詞二項目だけではありません。
「名詞と動詞」、「形容詞と名詞」という組み合わせもあります。
名詞二項目よりも難易度は上がります。概念の理解も必要になります。
<名詞と動詞の二項目>
「女の子が走る」
「赤ちゃんが寝ている」
「ごはんを食べる」
<形容詞と名詞の二項目>
「大きい魚」
「赤い傘」
「青い傘」
買い物ゲーム>
5つくらいの選択肢を用意します。
例えば、
おおきい魚
ちいさい魚
あおい車
あおい傘
あかい傘
この選択肢の中では、青(あお)と赤(あか)はどちらも2モーラで弁別が難しい言葉です。聴き取りにくそうな場合は、黄色や緑など、モーラ数の違う色に変えてみるのもいいです。
「赤い傘がほしいな、赤い傘を買ってきて」と言って選んでもらいました。
赤と青の弁別ができているのか
傘と車の弁別ができているのかが分かります。
両方できて二項目の聴覚記憶はクリアです。
二語文は「ぶんカード 1集」「ぶんカード 2集」を使いました。
絵カードを壁に貼る
次に、聴覚記憶を少し長く維持することに取り組みしました。
目の前に置いた絵カードだと、聞いてすぐに見つければ覚えなくても選べますからね。8畳くらいの壁に絵カードを貼って、「○○取ってきてね」をしました。
これが意外と難しかったです。
歩いて取りに行く間に忘れちゃうんですよね(笑)
お買い物かばんを手に持たせて、「○○と△△を買ってきてください」とお店やさんごっこをするなど、バリエーションも増やしました。
さらに発話が増えてきたら、お客さんとお店屋さんを交代して遊びました。
わざと私も忘れて、「あれ?忘れちゃった、もう1回言って」と息子にしれーっと聞き返したりもしました。同じ目線で遊ぶことだと思います。何度も聞き返してもOKだと思います。
絵カード遊びは楽しみながらが原則だと思います。
そして、絵カードから言葉を覚えさせようとしないことだと思います。それをすると、絵カード=お勉強モードになってしまい、楽しくなくなります。
難聴児も日常生活の声かけ、絵本などの言葉から言葉を聞き貯めて、語彙が増えます。
もちろん、何度も繰り返し使うようにはしていました。
それから少しずつ語彙を増やそうというよりは、息子が知らない言葉や理解していない言葉を7割りくらい入れて話しかけていました。それくらいして、ようやく少しずつ語彙が増えていく感じだったと思います。
公園で知り合った息子と同い年の子のお母さんが、それはもう豊かに子どもに話をしているのを目の当たりにして、難聴児だからと一語一語絵カードで言葉を教えるのはナンセンスだと確信しました。
補聴器や人工内耳の装用閾値がスピーチバナナに入っていることが前提ですが、難聴児も聴覚だけで言葉を育てられます。
あわせてこちもどうぞ>>>>>関連記事「絵カードの活用方法」
「聴覚記憶のトレーニング」もう少し続きます。
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