※補聴器を装用しても音の反応が全くなかった息子。2012年3月、1歳6か月で人工内耳手術をしました。現在は両耳人工内耳装用してインテしています。
『お耳の成長記録』として、人工内耳を装用してからの息子の様子、聴こえの変化、ことばの表出記録などを、当時のメモをもとに過去を振り返って綴っています。
まとめはこちら>>>『お耳の成長記録』
就学時検診
こんにちは。
そろそろ就学時検診の時期ですね。
来年度の入学に期待と不安でいっぱいの保護者さんも多いかと思います。
私も6年前そんな気持ちでこの日を迎えました。
また、お子さんが楽しく小学校生活を送れるように学校との交渉を具体的に進めるのもこれからですね。
必要だと思われる配慮はお子さんによって違いますが、わが家は以下のことを入学前に相談しました。
- 席の配慮(前から何番目、聞き耳がある場合は左右どちらがいいかなど)
- ロジャータッチスクリーンマイクの使用(授業だけか、全校集会や運動会など行事ではどうするのか)
- ロジャーパスアラウンドマイクの使用(生徒の発言用マイクとして必要かどうか)
- 椅子の騒音キャップの使用(公費でつけてもらえるかどうか)
お子さんの聴力によっては、要約筆記や音声認識ソフトを使用する場合もあるでしょう。
近頃はタブレットの普及で校内でもwifiが整備されているので、遠隔で手話または文字による情報保障を受けることも選択肢に入るかもしれません。
その際、学校側との話し合いの内容は文字におこして議事録を取っておきました。
小学校は教頭先生が対外窓口になっていることが多いかと思いますが、異動で4月から他校へ転勤になってしまうこともあり、口約束だと入学時に新しい教頭先生にうまく引き継がれないこともあるからと聞いていたためです。
議事録があれば一から説明しなくてもスムーズに引き継いでもらえると思います。
問い合わせの電話の内容も必要ならメモにしたり、話し合いの経過はできるだけ残しておくといいですよ。
もしかしたら、交渉事なので要望が通らずに妥協することもあるかもしれません。
しかし、入学はまだスタートラインです。
入学してから困りごとがあるたびに学校と話し合って理解してもらい、少しずつ音環境を整えていくこともできます。
むしろお子さんの現状と照らし合わせながら話し合っていくことが必要です(*^-^*)
なので、入学前に要望が通らなくても諦めず、お子さんにとって必要な配慮を粘り強く伝えていくことが大切だと思います。
通級の選択肢
さて、多くの難聴児さんの保護者にとって就学時の進路は一番の悩みどころです。
特にインテを考えている場合は、地域の小学校情報を収集するところから始まると思います。
わが家はインテする場合、通級をどうしようか迷いました。
いるの?いらないの??
それ以前に最初はどういう選択肢があるのかもよくわからなくて・・・
もし地域校に通った場合にどういう選択肢があるのか調べるところから始めました。
調べ始めたのは年少で、年中の時に地域校にアポイントをとって見学させてもらいました。
各自治体で多少の差異があると思いますが、聾学校へ行かないとすると考えられる進路は以下の7通りでした。
-
地域校 通常学級在籍 通級なし
-
地域校 通常学級在籍 自校通級教室
-
地域校 通常学級在籍 他校通級教室または聾学校通級
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地域校 通常学級在籍 巡回通級
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地域校 難聴学級在籍
-
難聴学級または通教教室のある地域校(越境入学)
-
私立小 (または国立小)※通級は自治体に要相談
※私立小に在籍の場合、制度上公立小学校の通級は通えない自治体もあります
先に言うと、
わが家は年中時に引っ越しして
②の 地域校 通常学級在籍 自校通級利用
になります。
引っ越しをせずに①や③や⑥も考えていましたが、今振り返れば息子にとって自校通級のある小学校という選択で良かったと思います。
もちろん良い点ばかりではなく当然デメリットもあります。
他の選択肢にしても、必ずメリットデメリットはあるでしょう。
どの選択が一番適当かは、
- お子さんの就学前の環境(インテか聾学校か)
- 補聴の聴き取り能力
- 言語習得の状態
- お子さんの性格
- 保護者の考え
- お住まいの小学校の現状
- 兄弟の有無
など、いろいろなことを考慮しておそらく考えるのかなと思います。
そこでわが家の経験と私がこれまでに見聞きした話から、それぞれのメリットデメリットをまとめてみました。
以下は個人的な感想も一部含むことを考慮してお読みいただければと思います。
また、各自治体によって運用が違うこともあり、全ての選択肢が必ずあるわけではないこと、一方で別の選択肢があることもご承知おきください。
それによって状況も異なってきますし、また中には柔軟に対応してくれる自治体もあり配慮が全国一様でないのは事実です。
詳しくはお住まいの自治体の窓口・地域校に問い合わせの上、ご自身で確認していただくのが一番だと思います。
ただ、これから就学を考える保護者さまにざっくりとどういう進路があるのか選択の一助になれば幸いです。
以上をご理解の上よろしければご一読ください(*^-^*)
① 地域校 通常学級在籍 通級なし
軽度難聴児(たとえば補聴器は装用しているがロジャーは不要な程度の聴力)や、幼稚園保育園からインテした難聴児は「通級なし/通常学級」選択をすることも多い
メリットは、公教育の一般的な進路ということもあり、地域の子どもと関わりを持ち、日本の教育水準を維持した授業を受けられる
また、登下校の通学や、放課後は学校の友達と遊ぶなどして地域の中に生活の基盤ができる
デメリットは、難聴の配慮が必要な場合、みんなと違うことを受け入れにくい、言い出しにくいこともある
周囲(学校、担任、クラスメート)に対し、難聴理解や障害への配慮を本人(保護者を含む)が主体的に働きかけて築かねばならず、他の機関の協力を得にくい傾向がある
② 地域校 通常学級在籍 自校通級利用
メリットは、①と同じように公教育の一般的な進路ということもあり、地域の子どもと関わりを持ち、日本の教育水準を維持した授業を受けることができる
また、自校通級を利用する他の難聴児と学校内で交流がもてる
登下校の通学や、放課後は学校の友達と遊ぶなどして地域の中に生活の基盤ができる
加えて、自校に通級教室が設けられているので学校全体に難聴理解が根付いていることが期待できる
ハード面ではロジャーやマイク等の備品の活用も積極的に検討してくれる
自校通級の場合は、授業は取り出しと入り込み(通級の担任が通常学級にはいってサポートすること)の2パターンが選べる
通級の授業時間数は、あらかじめ決まっている学校、自由度のきく学校などさまざま
デメリットは、通級の日はクラスの授業を抜けなければならないことと、学校内で難聴理解を自分で周りに伝える経験があまりないこと
③ 地域校 通常学級在籍 他校または聾学校の通級利用
③のメリットは、①と同じように公教育の一般的な進路ということもあり、地域の子どもと関わりを持ち、日本の教育水準を維持した授業を受けることができる
登下校の通学や、放課後は学校の友達と遊ぶなどして地域の中に生活の基盤ができる
在籍校に難聴理解の風土はなくても、通級の担任が難聴理解や必要な配慮を在籍校の担任に伝えてくれるなどするため、他の協力機関の働きかけが期待でき、本人(保護者を含む)の負担は軽減される
子ども自身は通級に通うことで地域校に通いながらも障害受容の意識付けになる
デメリットは、通級の日は学校を早退するなどし保護者が通級のある学校へ付き添う必要があり保護者の協力が不可欠
回数は概ね週1~2時間
④ 地域校 通常学級在籍 巡回通級利用
メリットは、①と同じように公教育の一般的な進路ということもあり、地域の子どもと関わりを持ち、日本の教育水準を維持した授業を受けることができる
また、登下校の通学や、放課後は学校の友達と遊ぶなどして地域の中に生活の基盤ができる
通級の先生が在籍校に来てくれるため、③のように通級の時間に保護者が付き添わなくてもよいため保護者の負担はない
通級の担任が在籍校の授業を参観し、難聴理解や保護者の想いを代弁して在籍校の担任に伝えてくれる
デメリットは、巡回する通級の先生の負担が大きく通級の回数は少なめ(月単位で実施)
逆に通級の回数を減らす方には相談に応じてもらえやすいことが多い印象
ただし、自治体によっては巡回通級は実施していない
⑤ 地域校 難聴学級在籍
メリットは、地域の小学校に通うことで、登下校の通学や、放課後は友達と遊んだりして地地域の中に生活の基盤ができ、自分以外の難聴児と学校内で交流がもてる
②~⑤と違うのは在籍が通常学級ではなく難聴学級なので、新規立ち上げ時はひとり学級の場合もある
一方、既存の難聴学級のある学校(センター校ということもある)の場合は全体に難聴理解が根付いていることが期待できる(新規立ち上げの場合をのぞく)
ハード面ではロジャーやマイク等の備品の活用も積極的に検討してくれる
学習面と生活面において手厚いサポートを受けたい場合には最善の選択肢である
通常学級での交流の時間に、難聴学級の先生が入ってサポートしてもらうこともできる
ただし、交流時間数が少ないとクラスの中で友達関係を築きにくくなることもあり、交流時間数をどの程度設けるかは入学前の要相談事項
⑥ 難聴学級または通教教室のある地域校(越境入学)
メリットは、①と同じように公教育の一般的な進路ということもあり、日本の教育水準を維持した授業を受けることができ、自分以外の難聴児と学校内で交流がもてる
②と違い、引っ越しの必要はない
デメリットは越境入学になるため、登下校の通学は保護者の送迎が必要となることもあり、放課後は学校の友達と遊ぶなどの機会をもちにくい
その他は②や⑤と同じ
⑦ 私立小 (または 一部の国立小)
難聴療育と幼児教育を並行し、おもに都市部で小学校受験をする子どもも一定数いる
事前面接や説明会などで難聴理解のある小学校に出会えれば、先生の異動がなく建学の精神が変わらない私立小で過ごす6年間(中高一貫の場合は12年間)、落ち着いた環境で学校生活が送れるというメリットがある
公立とは異なり、独自のカリキュラムで授業をおこない、国際交流など対外活動の機会が多く得られる
デメリットは、経済的な負担があること
また、通級などによる公的な教育サポートが受けられない自治体もあり、電車通学のため地域のつながりが希薄になりがちなこと
以上です。
これから就学を考える保護者さまにとって何か参考になりましたら幸いです。
出ました‼
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最後までお読みくださりありがとうございました(*^-^*)